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CCJPメールマガジン 2007年12月号
2007年12月22日発行
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<目次>
・年末のご挨拶 CCJP一同
・著作権問題にかかる誤解と世論形成 —CCJPアドバイザリー・ボード甲野正道様
・12月6日 角川歴彦氏の講演レポート@早稲田大学 松本昂
・インターン生のひとりごと クラウス・グレスブランド
・CCJPへのご支援のお願い
・編集後記

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□□年末のご挨拶 CCJP一同□□


身に沁みるような冷たい空気と、低い位置からぼうっと差し込む太陽の暖かい光が、本格的な冬のおとずれをしらせ、2007年もいよいよ終わりが近づいて参りました。
本年は、皆さまにとってどのような1年だったでしょうか。
CCJPにとっては、一歩一歩、着実に成長を遂げることができた日々だったように思えます。

昨年につづき、多数のセミナー・シンポジウムをおこない、多くの方に来場していただき、深い議論を交わすことが出来ました。
また、組織としてはNPOとして法人格を取得し、より安定した活動が可能になりつつあり、あわせてインターン制度も発展し、ケータイサイトの開設やメールマガジンの発行をおこなうに至りました。
そして、CCライセンスの採用事例がじわじわと増えつつあることが、なによりの収穫と考えております。

グッドデザイン賞の受賞情報データベースがCCライセンス対応(http://www.g-mark.org/search/)、インディーズ音楽の共有サイト「mf247」(http://mf247.jp/)がCCに対応し、はてながロゴマークをCCで公開(http://www.hatena.ne.jp/company/logo)、等々、ここでは紹介しきれないほどの多様な事例が生まれました。
津田大介氏らによる「CONTENT'S FUTURE
ポストYouTube時代のクリエイティビティ」や「WEB2.0の未来ザ・シェアリングエコノミー(参考:http://www.impressrd.jp/web2mirai/)」といった書籍のCCライセンス下での発売は、歴史に裏打ちされ、日々の生活に根付いている出版文化と、インターネットのオープン性との出会いが幸福になりうるか、という問いを投げかけました。

そして著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(http://thinkcopyright.org/)、東京弁護士会知的財産部会、文化庁の文化審議会著作権分科会の小委員会など、外部の講演や活動にも参加してきました。

CCライセンス自体もより使いやすくなるように、ウェブサイトの整備を進め、ライセンスのバージョンも近いうちに更新される予定となっております。

2007年は、インターネットに対する世間の注目がますます高まり、多くの流行や事件や話題が生まれましたが、そのような現象に付き物の一時的な喧噪への安易な加担という罠に陥らず、以上のような活動をコツコツと行うことができたのは、皆さまに多くのご支援をしていただいたからこそです。」
改めて、心より御礼申し上げます。

クリエイティブ・コモンズ自体は誕生から5年目をむかえ、さまざまな活用方法が試され始めており、2008年の夏に札幌で開催されるiSummitを、日本におけるフリーカルチャーの大きな飛躍の機会として捉え、より広くCCを社会に浸透させていきたいという意気込みと共に、来年以降も活発に活動していきたいと存じております。

年が明けても引き続き、CCJPを応援していただければ、これほど嬉しいことはありません。わたしたちと共に、より良いネットワーク社会を築いていただけますよう、何卒よろしくお願い致します!


(CCJP一同)

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□□著作権問題にかかる誤解と世論形成 ——CCJPアドバイザリー・ボード甲野正道様□□

■著作権問題にかかる誤解と世論形成■

独立行政法人国立美術館本部事務局長
甲野 正道(前文化庁著作権課長)


著作権制度上の課題を検討しているとき、気になるのは報道や世論の動向でした。しかし、著作権制度はなかなかややこしく、新聞等の報道が正確でないことも時折ありました。また、残念ながらインターネット上に真実ではないコトが飛び交うことも珍しくはありませんでした。


例えば、2004年に「CD還流防止措置」を導入した際にも、「この措置が導入されたら、欧米からの直輸入版が入手できなくなる」という「誤解」がインターネット上などで大きく流れました。この措置に関しては、実際のところ別の問題を指摘する声が大きかったのは事実ですが、「直輸入版がとまる」というのは全くの「誤解」でした。関係者は「直輸入版はとまらない」とあちこちで説明しましたが、なかなか誤解は解けなかったように記憶しています。

また最近の事例ですが、「違法サイトからのダウンロード違法化」については当初「違法サイトからのダウンロードは警察の取り締まりの対象となる」という趣旨で報道されたことがありました。いうまでもなく本件は、違法とされた場合でも刑事罰は科されない方向で検討が進められています。しかし、事実を誤解したまま記事にされた記者の方も複数おられましたし、事実をきちんと認識しつつも「共謀罪」の問題と併せて解説した結果、その記事を読んだ方は「刑事罰が科せられる」と誤解するような記事を書かれた記者もおられました。また、新聞の社説に堂々と間違いを掲載した社もありました。

なお、本件については私もかつて「ストリーミングは対象とならない」と、誤解を招くような説明をしたことがありました。この表現を目にしたら、おそらく多くの方は「自分の家にあるPCで違法サイトから音楽や映像をストリーミングで視聴しても問題はないのだ」と考えることでしょう。しかし、実際にはストリーミング視聴の際には映像データがパソコン内部に残る、つまりダウンロードが必然的に伴うそうですから、その点が問題となると十分考え得るのです。

もっとも、この問題は「キャッシュ」の問題と同じと考えられ、確定的に違法になるのかどうかは微妙です。しかし、「対象とならない」と言い切ったことは適切とはいえないものでした。


また、保護期間の延長問題についても、「米国が日本に圧力をかけている」かどうかという点に関して「誤解」がありました。ネット上などで時折「延長することは米国の圧力に屈することになる」という言い方がされることがありましたが、私は著作権課勤務中米国の圧力は全く感じたことはなく、そうした言い方にはずっと違和感を覚えていました。

もっとも、私のある個人的な発言がそうした「誤解」を拡大した面もあったかもしれません。ある時「内外から延長の要望があるのだから、仮に国内で大きな反対論がなければ保護期間の延長という話になるだろう」という趣旨のことを内々に述べたことがあったのですが、それを聞いたお相手は「文化庁は米国の圧力を感じている」と受け止めたそうなのです。今から思うと、説明のしかたにもう少し慎重を期したほうがよかったのかもしれません。


以上の他にも様々な「誤解」がありましたが、こうした「誤解」は、不正確な認識が広まるという意味で問題であることはもちろんですが、私が最も懸念するのは、「誤解」に基づいて意外とたやすく「世論」が形成されてしまう可能性があることです。そして、仮にそうした世論を前提にして国の施策が決められたら、こんなに恐ろしいことはありません。


誤解が発生したり広まることがないようにするには、ごく当たり前のことですが、世論形成に大きな影響を持つ者、例えば行政関係者や報道関係者が発言や報道に当たって注意するしかないでしょう。

また、個別の問題に利害関係を持つ方も、注意が必要ではないでしょうか。例えば「違法サイトからのダウンロード違法化」という課題について敢えて「ダウンロード違法化」と紹介する方もおられますが、文化審議会著作権分科会の議論の方向は、「違法サイトから」のダウンロードに限定しています。したがって、このタイトルを見た方は「ダウンロードが全面的に違法化されるのではないか」と誤解されないかどうか、心配です。


いずれにしても、なにかとややこしい著作権問題、多くの方々が「誤解」にとらわれない形で、政策論議に加わっていただくことを願ってやみません。

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寄稿文をお寄せいただいた甲野様、ありがとうございました。
著作権に関わる論議は人によって発言がまちまちで、誰のどの発言を信用してよいのか分からずに戸惑ってしまうことがよくあります。
発言をする人間が注意をするのはもちろん、発言を聞く側の人間も注意して、発言内容を受け取る必要がありますね。
本当にありがとうございました。

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□□12月6日角川歴彦氏の講演レポート@早稲田大学 松本昂□□

「Web2.0時代の著作権 -二つのリスクと二つの誤認-」と題された本講演は、12月6日、地面が落ち葉に覆われた、冬の早稲田大学で行われました。

角川氏の静かに語りかけるような口調は、web2.0という狂騒を落ち着いて眺めつつ、じっくりと腰を据えて情報やコンテンツの流通について考えていく姿勢のあらわれのように思え、聴くものの背筋をそっと伸ばさせるような重みをもっていました。
はじめに、いまのインターネットを代表するGoogleやYahoo、AmazonやBitTorrentの企業を挙げ、Appleに訪問したおりに、例えば角川グループのどのコンテンツiTunesに欲しいかと社員と聞いた際、「羅生門」という答えに黒澤明監督の影響の大きさを改めて感じつつ、同時に述べられた「時をかける少女(細田守監督による2006年公開のアニメ映画版)」という答えに、黒澤映画と並べて語られる日本アニメの影響の大きさを感じた、と述べました。ここで日本のコンテンツ創造のたくましさを提示しつつ、映画をはじめとする動画やゲーム、テレビ等、20世紀に創造された文化と技術は今日の大半のコンテンツを形成し、それがインターネットという技術に裏打ちされることで、知の集積とその再編成という時代のニーズが生まれ、やがてAmazonやGoogleという企業を台頭させた、という考えが示され、文字・印刷技術・インターネットが人類の三大発明だと総括しました。

これらの動きから日本が取り残されている、つまり21世紀に入って世界で存在感のある日本の企業が誕生していない、という現状には、講演に題されている「二つのリスクと二つの誤認」があると、お話は山場を迎えます。二つのリスクとは、サーバーをはじめ、ウェブの技術や企業がアメリカに集中していること、及び、新鮮なコンセプトを世の中に示すようなIT企業がない、とし、二つの誤認とは、先行するweb2.0企業の成功の秘訣を技術イノベーションの所為にすること、それからインターネットを海賊版が氾濫する不正コピーの巣窟だと見なすこと、だとしました。
誤認については、既存の技術を新しいコンセプトのもとで上手く組み合わせ、情報流通技術そのものを刷新する、という「制度」のレイヤーでの革新が肝要だと解説し、著作権違反をはじめとするインターネット上の権利侵害は、近いうちに技術的な規制によって抑止されるだろうという見解をレッシグ教授の著作紹介も兼ねて述べました。

このような認識のもとで、制作者の経済的なインセンティブを担保しつつ、コンテンツの消費者の欲望を満たすような制度構築が必要であるという結論部に達し、著作物へのアクセス権を1次・2次・3次というレベルに分けて、例えば映画ならば、映画館で観るというメディアの本質的な享受方法が1次レベル、DVD等のパッケージ化された、コレクションとなるソフトの購入を2次、インターネットでの閲覧を3次レベルとし、最後の3次レベルを創設すべき「閲覧権」だと位置づけました。閲覧権はいわゆるライトユーザーの「ちょっと観てみたい、試しに観てみたい」というニーズに答えるものであり、それに見合ったわずかな対価を広く薄くあまねく徴収し、経済的・文化的合理性を守っていくという構想が提案されました。

レッシグは技術による規制を危惧する立場にあり、回避しようと多くの活動をしてきたのでは、という指摘が会場からされ、角川氏は技術の規制を見越した上での行動であり、立場が異なるかもしれない、という疑問を残しつつ、その他も会場内から鋭い質問が飛び交いました。
あらゆる規制は経済や文化の発展に与するように、慎重に検討されるべきですが、どの立場に立つにせよ、規制された場合とそうでない場合について想定しなければならないのが現実です。その意味で、どの立場からでも今回の講演の結論部は意味を持つはずです。

個人的に印象的だったのは、あいだに挿入された「90年代を文化や意識の側面からどう評価するか」というテーマです。90年代を、単に経済的に落ち込んだという失敗として矮小化するのではなく、日本人が冷静になれた10年間として重要なこととして捉えてみること。いわゆる「小室ファミリー」や「シノラー」「たまごっち」「ルーズソックス」、バブルが終焉してから迎えた90年代半ば以降のカラフルにトチ狂った若者文化とその内省的な時期への以降という流れは、その時代を10代として過ごした筆者に不思議な思いを残し続けています。あれは何のお祭りだったのでしょうか。
関係ありませんが、講演に使われたスライドに、「涼宮ハルヒ」の画が使われており、なんだか最強だなーと感じました。

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□□インターン生のひとりごと クラウス・グレスブランド□□

CCJPインターンシップ:2007年11月から。英訳が主な仕事です。

CCJPのインターンになった理由:OCの世界を自分の目で見る為に、特にだれがどんな目的でOCをクリエイトするかとか、OCに関するビジネス・モデルがあるかどうかを分かる為に。面白い人に会う為に。

CCJPの良いところ
(1)日本人はあまり自分の意見を直接言うことが好きではないと聞きましたが、雰囲気のいいCCJPミーティングには皆が自分の意見を自由に表せます。
(2)ミーティングはいつもペースが早くて、とても効果的だと思います。


-----クラウスさんのProfile-----
名前:クラウス・グレスブランド (Klaus GRESBRAND)
国籍:ドイツ人
加盟:東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究生
学歴:ドイツの「オスナブリュック大学」の法学部の卒業者
日本にいる時間:2007年の9月から2008年8月まで
興味:民法、著作権法、webdesign、日本語(まだまだうまく
話せません)、フォトグラフィー、書道

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□□CCJPへのご支援のお願い□□

クリエイティブ・コモンズ・ジャパンは、より活発で広範な活動を行うため、皆様からのご支援をお願いしております。クリエイティブ・コモンズの理念に賛同し、より豊かな情報社会の構築に貢献したいとお考えの方は、ぜひ寄付をすることで私たちの活動をサポートして下さい。

集まった寄付金はCCJPの活動資金として、様々なプロジェクトの運営費等に使用させて頂きます。用途については事務局にご一任させていただければ幸いです。

皆さまからのご支援をお待ちしております。

くわしくはこちらをご覧ください↓
http://creativecommons.jp/donation/

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□□編集後記□□

今回も無事にメールマガジンを発行する運びとなりました。
今月号の内容はいかがだったでしょうか?

元著作権課長の甲野様の寄稿文には、著作権の問題に関わっている自分もハッとするものがありました。最近はマスメディアに加え、個人もブログなどで発言できるため、「誤解」や「思い込み」が大きく膨らんだ発言が多くなってしまうのかもしれません。
誰かの発言を客観的に聞くこと。ただ反射的に応答するだけではなくて、一度自分の中で反芻して、正しいと思えることを述べることの必要性を感じました。ありがとうございました。

それではまた来年、1月号でお会いできることを楽しみにしております。

編集代表・インターン 酒井 麻千子

発行日:2007年12月22日